高血圧症や糖尿病などは運動不足という生活習慣が因となって起きる成人病である。
ところで近年、これまで成人病としてとらえられてきたいろんな疾患の中には、生活習慣病としてとらえるべきものが多いと考えられるようになった。


 運動習慣の他にも、生活全般にわたる習慣や嗜好、ライフスタイルが要因となっている例として、日常の食習慣(糖尿病、肥満、 高脂血症、脳卒中など)、喫煙(肺がん、循環器病、慢性気管支病など) 飲酒(アルコール性肝疾患)などがある。

 成人病の予防対策としては従来から、食事や栄養の改善、十分な睡眠をとること、適度な運動を行うことなどのように生活習慣に着目した指導が行われてきた。
成人病は加齢にともなって増加するのは事実であるが、すべてが加齢に起因するものではなく、どちらかと言えば永年にわたる生活習慣に原因があるということである。別な言い方をすれば、中高年でない人、たとえ子どもであっても不適切な生活習慣を続けていると、そのことが原因で病気になるということであって、これは昔から教えられてきたことである。
 しかしながら物事の受け取り方として、「成人病=年をとったからなる病気」というようにとると、生活改善への意欲が弱められ、「年には勝てん」というあきらめの境地に陥ってしまうのではないか。
これに対して、「年齢じゃない、生活習慣がもとなのだ」ということになると、生活をふりかえり、問題点を改善しようという道筋に入り易くなるように思う。

 スポーツの指導において「説いて動かせ」と言われているように、選手の意識を確立することは目標達成において第一に重要である。ここでは生活習慣病を例にして述べたが、物事を正しく理解し、確固たる意識をもつことはスポーツ活動だけでなく、人間のやることのすべてについて、行動を始めるときにも、それを継続していくときにも第一に重要な項目である。

野原 弘嗣
京都教育大学 教育学部教授
医学博士

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