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夏休みです。この長い夏休みに、子どもたちに海や山の自然の中でいろんなスポーツ体験活動をしてほしいものです。今回は子どもと自然体験活動について考えたいと思います。
最近、漁師の子どもはプールでの泳ぎは大変上手ですが、海での泳ぎが苦手と聞いています。遠泳をするとパニックに陥ることもあるそうです。一昔前では想像出来ないことですね。と言うのも今は漁業の町の学校にも立派なプールが完備されていて子どもたちは海を横に見ながらプールで泳ぐのです。プールは水が透き通ってきれいし、波はないし、岩もないし、足も立ちます。何よりも安全でその上先生が指導してくれます。泳ぎを学ぶには最適の人工的な環境です。一方、海はどうでしょうか?プールよりも水は濁っており、海底および前方がよく見えない、足はつかない、波がある、足場が悪い、塩辛い、水温は変化する、時々海草や小魚が足をつつく等、全くの自然環境です。プールと比較すると、海は泳ぎを学ぶためにはあまりよい条件ではありません。
しかし四方を海に囲まれた我が国における海洋での安全、また青少年の健全な成長・発達を考えると、海での泳ぎや各種海洋スポーツの技術をマスターすることは大切なことではないでしょうか。自然環境の中での生きる技術はやはり自然の中で経験することにより習得でき、本物のスキルとなるのでしょう。野外での安全教育の普及も含めて自然の中でのスポーツや体験活動は、これからの子どもの成長発達における大切な活動のひとつではないでしょうか。
もう一つ自然環境の中での身体活動についてお話します。私の所属する大学の講座では、新入生に六甲全山縦走を実施しております。須磨から宝塚まで全長約55km、登りの標高を合計すると優に2,000m
越えます。11月に実施されるイベントとしては、この距離を1日で走破するのですが我々は2日かけて実施しています。それは学生に自然を見てもらう感じてもらう、安全と登山について学ばせる、伴に頑張った仲間と一緒に宿泊することによりお互いを理解しあう、体力的に弱い学生をサポートし全員が完走するために助け合う等・・・。単に走破するという目的だけでなく、自然と身体活動が創り出す状況をうまく利用して、多くのことを体験させることを目的としているからです。
六甲縦走をスポーツ・体力科学の視点から見ても多くのことを体験することが出来ます。グラフは六甲全山縦走中の心拍数の変化を示しています。54歳の男性の結果ですが、登り下りに対応して心拍数が変化するのがわかります。全体の平均心拍数は122±19拍、最高心拍数は185拍まで上がっています。また150拍以上の心拍数の時間は約100分間あり、決して有酸素だけの運動ではなく無酸素的能力も必要な運動であることも分ります。ハイキングというイメージで望めばショックを受けるような、結構体力的にはきついものがあります。そのような運動を約20時間続けるのです。体内のエネルギー源も消耗し、歩きながら眠気も襲ってきます。その間、学生たちは自分自身の気持ちとの戦い、仲間に対する関わり方考えさせられる色んな場面に遭遇します。それゆえゴールの感激は皆すごいものがあります。ゴールの宝塚から電車で神戸に帰る時、電車の窓から学生が六甲山を眺めて、「おれら、あそこを歩いたんや」と感激して言います。一体どんなことを思っているのでしょうか?

近年、学校での臨海学校や林間学校等の自然環境の中での行事が減ってきていると言われています。指導者がいない、危険である、時間がとれない、勉強が遅れる、費用がかかる・・・・。簡単には解決できない、しかし克服しなければならない課題がたくさんはあろうかと思います。子どもたちの自然の中でのスポーツ活動は、現代の子どもたちがかかえる体力・身体活動量の二極化や心のもつれ等の諸問題を解決する上で、現代人が忘れかけている大切な営みです。是非、自然の中での身体活動プログラムを充実して、本物の「生きる力」を育成して欲しいものです。前述しました遠泳にしろ全山縦走にしろ、決して一人で出来るものではありません。学校をはじめいろんな組織がネットワークを作り、子どもたちに自然環境の中での身体活動を経験させ、自然・社会と調和した人の成長発達を推進していきたいものです。
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